おお、アルカディアの山羊の足の神よ!
この時代の世界はおまえを必要とする!
――オスカー・ワイルド
ウイルヘルム・フォン・プラショウ Wilhelm Fon Pluschow / 略歴
1852年8月18日、北ドイツのウイスマルに7人兄弟の長男として生まれる。 父親は市の役人だった。1870年代はじめに家を出てイタリアに移住、ローマのワイン商で数年働いた後、1890年代はじめにナポリのマルゲリ区に写真館を開く。
1880年代からイギリスの写真誌「The studio」に、古代ギリシア、アルカディアの牧童を彷彿させる擬古典的モチーフのヌード作品が度々取り上げられていたが、1893年のロンドン王立写真協会の展覧会に参加して一躍注目の写真家となった。その後ローマに写真館を移し、ヨーロッパやアメリカの詩人、作家らインテリ好事家たちの賞賛の対象となる“アルカディア的ヌード写真”を撮り続けた。
シチリア島で少年写真を撮っていた写真家グローデンは従兄弟にあたり、彼に写真を教えたのがプラショウではないかと言われている。晩年はドイツに戻ったが、詳細は知られていない。1930年に他界。
グローデン、ガルディとともに“19世紀末裸像写真”の3大巨匠と呼ばれる。ことにプラショウは近年欧米での再評価の機運が高まっている。