参加作家 城景都・ヴァーニャ・ズーラヴィロフ・宮西計三・西牧徹
静謐な湖をひっそりと照らす三日月が滴らせた一粒の小さな雫は、やがて、水面に微かな波紋を走らせる——。
城景都、バーニャ・ズーラヴィロフ、宮西計三、西牧徹。彼らが織りなすエロティックな幻想は、水のように柔軟に変形し、その正体を曖昧にしたまま艶かしい姿態で我々を挑発する。今回の展示では城景都の未発表新作をはじめ、大胆にも純然と悪を讃美しているかのような妖しい画風で近年衆目を集める、国内外4作家が描く版画作品を一挙に公開。背徳的な快楽に、あるいは開放的な苦痛に支配された者がみせる恍惚の視線の先に、あなたは何を見るだろう。
城景都/プロフィール
1946年、愛知県刈谷市にて印度系韓国人の父の三男として生まれる。
小学校時代より音楽と絵に興味を持ち、学生時代は音楽活動の傍ら絵を描く。傷害事件を起こし少年院に入るなど荒れた少年時代を送るが、恩師で画家の近藤正治氏と出会い、その芸術論に感銘。その後本格的に絵を描きはじめ、数々の賞を獲得、画家への道に進むことになる。
独特のスタイルである、植物の葉脈から導き出したタッチを用いた作風でさらにその名を知られる様になった。近年では書による個展も開催するなど、精力的に活動している。从会会員。
Vania Zouravliov バーニャ・ズーラヴィロフ/ プロフィール
11980年、ロシア生まれ。
幼少より絵を描き始め、弱冠11歳にてフランス、ロシアなどで初の展覧会を開催。その後ロシアからスコットランド、ロンドンへと拠点を移しイラストレーターとして活動、現在に至る。「BECK」「Matt
Elliott」「PLAID」などのCDアートワークや 「The New York
Times」「National
Geographic」等の挿絵を手掛ける。2007年、イエローペンシル賞受賞。
なお、アーティストとしての作品は主にゲシュタルテン社より定期的に出版。
今展示では、最新画集もあわせて販売する。
宮西計三/ プロフィール
1956年 大阪に生まれ奈良に育つ。
その後、1970年に上京し、画家・真崎守の弟子入り、1973年徳間書店劇画大賞佳作第一席にてデビュー。以後イラストや挿絵を手掛け、三流劇画ブームの一翼を担う。「ガロ」でもなく「メジャー」誌でもない独自のスタイルで作品を発表し続ける。
代表作は「ピッピュ」(ブロンズ社刊)、「エステル」「Maila」(供にペヨトル工房)「バルザムとエーテル」(河出書房新社)など。
西牧徹/プロフィール
1964年、東京都生まれ。
2001年に初個展を開催、以後、主に少女をモチーフにフェティッシュな絵画を描く。雑誌のイラスト・挿絵などの仕事多数。また、艶画と福画に大別される「黒戯画(鉛筆画様式)」を提唱し、みずから‘黒戯画家’を名乗るなど、独特の世界感をストイックに追求し続けている。
これまでは艶画はヴァニラ画廊、福画は西武、そごうなどの百貨店で展示されており、近年では黒戯画の根本モチーフを使った映像作品にも着手している。