入場料500円
(展覧会B室の展示もご覧いただけます。)
◆荒井良が蒐集した、およそ2,000点を超えるアイスクリームパッケージを一大公開!
個性に満ちた立体パッケージから、懐かしのパッケージまで、驚きと感動のコレクション!
さながら、ヴァニラ画廊内部が巨大な冷凍庫に?!
平成アイスパッケージ、驚異のコレクションをお見逃しなく‼
26年前、昭和から平成へと改まる時、この節目に何か新しいことをはじめてみようと思い立った。たいていは三日坊主に終わるので、今回はこのような大きなキッカケを利用しようと考えたのである。当初はいろいろと大層な志を抱いていたように記憶しているが、その頃たまたま見たテレビ番組のおかげで、大志の行方は「アイスクリームコレクション」という思いもしない方向へと進んでしまったのである。
それは芸能人が自分のはまっている物や食べものを紹介する番組で、あるタレントが好きなアイスクリームを順位に合わせて解説していた。お気に入りNo.1に輝いたのは某菓子メーカーから出ていたバナナアイスだったが、味もさることながらスティックの形がおもしろいというのがイチ押しの理由。バナナ型のアイスの反り返った形に合わせてスティックも湾曲して作られているというのだ。そのことが妙に興味深く思えてさっそく購入して確認の後、アイスのパッケージとスティックを記念に保存しようと思ったのがコレクションのはじまりとなったのだった。
ところが、やはり想像はしていたものの集め出してみるとその種類の多さには圧倒されてしまう。「集め甲斐がある」などという次元ではない。早々にある制約が課せられることになる。海外生まれのちょっと高級な“L”や“H“には手を出さない、地域限定の所謂ご当地ものは見て見ぬふりをする、シリーズものの完全制覇など考えない…など収集対象の限定が余儀なくされたのである。
この逃げ腰規定の詮あって、その後収集は四半世紀にわたり続けられることになったものの、当然のことながらコレクションとしてのレベルの低下は避けられない結果となってしまった。ユルイのである。もともと人に見せるためにはじめたものではないし、集めているものもどこででも売っているものばかり、その上欠品多数…。今回このようなかたちで展示の機会を得たのは大変ありがたいことではあるが、はたして鑑賞に堪えることができるかどうか…。ありきたりのものでも一堂に会し数を得ることによって、なにか別の一面が見えてくれればと願うばかりである。
1958年東京生まれ。
文化学院美術科、武蔵野美術学園彫塑科卒業。
張り子による造形作品を制作。
「京極夏彦・文庫本表紙(化けものつづらシリーズ)」「メルトダウンシリーズ」などを手がける。