ポーランドのパフォーミングアーツ集団SUKA
OFFによる、日本初個展をヴァニラ画廊にて開催します。SUKA
OFFは人類固有の肉欲・哲学・神話などの定義の再構築を可視化し、更には金属や電子機器、医療器具といった人工物との融合を企み、多角的で革命的なアプローチで新たな生と肉欲の解釈を試みます。
今回は代表シリーズ「INSIDE FLESH」「BLACK
LAB」を発表。自身の精神と肉体、また自身を取り巻く環境に特別なフェティシズムを抱き、官能性を見出すSUKA
OFF。彼らは身体を既存の概念から解き放ち、強靭な精神を兼ね備えた器として既成概念に立ち向かうのか。哲学的概念を創造する、SUKA
OFFの壮大な実験的物語の結末をご覧下さい。
“Each of us is fluid locked up in a fixed form.”
―「我々は皆、定められた型に収められた流動体である」 (SUKA OFF
Sylvia Lajbig)
INSIDE FLESH
2008年から始まるアートプロジェクトであり、SUKA OFFの代表作「INSIDE
FLESH」。本作では既存のセクシャリティの超越を試み、身体性と官能性を付加し人間の視覚と聴覚の同期を試みる。そう、彼らの実験的な人間の肉体、特に肉欲に対する構造改革をサブカルチャーやイデオロギー、ジェンダーに区別しようと試みる事はナンセンスとも言えるであろう。
SUKA
OFFはライブでもビデオ作品でも、人間の身体が出来うるすべての事に挑戦している。それは時に性的、猟奇的といったレッテルを張られ、劇場、ギャラリー、比較的表現に寛容なクラブシーンでさえも彼等の実験は制限をくらってしまう。しかしこのような規制があったからこそ生まれた「INSIDE FLESH」は、それは「ポルノセクシャリティ」として新たなビジョンを切り開き、セクシャリティの新たな解釈を試みる起爆剤となった。
BLACK LAB
SUKA
OFFはパフォーミングアートを主として活動していることも影響し、写真作品は実に演劇的である。ひとつひとつの写真が身体の動きや異物との融合、そして有機物と無機物の相互関係を捉えている。
中でも「流動性」をテーマにした「BLACK
LAB」シリーズでは絶えず柔らかさと硬さ、液体と固体、自然と人工の「衝突」を再現している。人間の身体を柔らかな機械として見立て、「流動性」のもつ言語本来の意味(例えば液体、常に変動するものごと、更には性的でありながらも未だかつて誰にも名づけられていないこと)を探求する。SUKA
OFFの身体は液体ラテックスやプラスチックモールドを使用し変形、肉体の限界へと誘致されていく。ひとつの詩のように連ねられる身体の変遷録は、言語と演劇、そして写真という作品の垣根を越えて、器としての空虚な身体の意義を観念に訴えかける。
Piotr Wegrzynski: ピョートル・ヴェグジンスキ
Sylvia Lajbig: シルヴィア・ライビグ
1995年に結成されたポーランドのアーティスト集団。Piotr
Wegrzynski(SUKA OFF創設者。ビジュアルアーティスト、パフォーマー)とSylvia
Lajbig(古典言語学者、劇作家、パフォーマー)によって世界中の劇場、ギャラリー、フェスティバルなどセンセーショナルなショーを展開している。
SUKA
OFFの制作活動のジャンルは、ビジュアル演劇、パフォーマンスアート、クラブ出演、インスタレーション、写真、ビデオアート、音楽映像など多岐にわたり、今回日本で初めてとなる個展を開催。ヨーロッパのフェティッシュシーン・アンダーグラウンドシーンのみならず、ファインアート界においても近年期待まるデュエットである。