この度、ヴァニラ画廊の特別企画展として「ゴシック」をテーマに展覧会を開催いたします。
国内外より幅広い作家をセレクトし、現在「ゴシック」がどのような形で表現の中で息づいているのかを問いかけます。
現在の「ゴシック」という文化は、当初1700年代のイギリスで発生したゴシック建築廃墟ブームにより、ゴシック・リバイバル建築へ熱を上げたホレス・ウォルポールが1764年に発表した小説「オトラント城奇譚」をはじめとするゴシック文学から派生した「ゴシック」文化から、文学、音楽、ファッションにおいて怪奇・幻想的なモチーフ・スタイルをサンプリングして繋ぎ合わせた趣味全般を指す概念へと進化してきました。
解剖と縫合を続け、複雑化したこの「ゴシック」という嗜好は、従来の退廃趣味だけに留まらない意味合いを含み、今でも流動的に進化を続けています。
意識的に選択した「死への甘美な幻想」、「闇との戯れ」、「退廃への憧憬」それは果たして狂気的な嗜好なのでしょうか。
「ゴシック」とは何か、それは魂であり、感受性であり、死や闇に惹かれる心の有様を、美しいと表現することである、とこの展覧会では定義をした上で、私たちはその嗜好の中の「何」に心惹かれるのでしょうか。
このテーマを意図的に、(もしくは無意識的に)制作した作家の作品を一堂に集める事で、その「何か」が浮かび上がってくるはずです。ヴァニラ画廊が満を持しておおくりする「ゴシックアート」の神髄をご堪能ください。