この度、ヴァニラ画廊ではフランスのシュルレアリスト、ヴィルジニア・テンティンドの日本初個展を開催します。
ピカソ、ブラック、モディリアーニなど多くの芸術家が出入りした「洗濯船」と言われるモンマルトルの建物に、今もアトリエを構え精力的に制作を行うヴィルジニアは、陶・琺瑯・テラコッタ・ブロンズ・大理石と多岐にわたる素材を自在に操り、私たちの意識下に眠っている感情の原型に訴えかけるラテン的でシュールリアリスティックな、不可思議な妖精たちを作り上げます。
変幻自在にあらゆるイメージを象徴化し、キメラに命と性を吹き込むパリの巫女は、激動のシュルレアリスム運動の中に身を投じ、真摯に自分の作品へと反映させてきました。今年で八五歳を迎え、今なお鋭く野心的で、フェーリックな感覚で作品を制作し続けるヴィルジニアの軌跡をご覧ください。
Virginia Tentindo
ヴィルジニア・テンティンド
1931年イタリア系アルゼンチン人としてブエノスアイレスに生まれる。美術学校で造形美術を専攻する。1953年イタリアで陶器と琺瑯の技術を学び、パリに移住。パタンナー、グラフィックデザイナー、イラストレーター、雑誌編集、映画製作など様々な仕事を経て、シュルレアリスト作家で詩人のフィリップ・スーポーのアシスタントとして働く。
1974年に蝋とブロンズの加工技術を学んでからは緻密な彫刻アクセサリーを制作。同時に大型彫刻のプロトタイプ制作も学び意欲的に取り込むようになる。1978年ピエトラサンタのビエンナーレに初出展、翌年にはローマのモンディ・センターにて初個展開催して以降、フランス国内外を問わず多くの個展やグループ展に参加する。主な展示にフランスのグラン・パレ、国立貨幣博物館、ラテン・アメリカ・センター、エロティック美術館による展示のほか、イタリア、スウェーデン、ドイツ、スイス、ベルギー、アルゼンチン、ポルトガル、チリにおいて作品を発表。
1990年代の終わりころからは、イラストレーターとしての創作とグラフィックデザインの才能を生かし、彫刻作品のプロトタイプとなる17枚のペン描きスケッチ「無垢のなごり」シリーズを制作。1970年代後半以降、パリの洗濯船ビル(Le Bateau-Lavoir)にアトリエを構え、今日までこのアトリエで意欲的に創作を続けている。