日本の小説や漫画、ゲームなどの文化に触れながら育った台湾人イラストレーター・KCNは不思議な既視感が横溢し、幻想が顕在化する社会を描き出します。
時間軸を問わない幻想的な光景がまじりあい呼応しあうその表現は、ペンネームである’KCN’つまり青酸カリのような強烈なインパクトを含みながら、私たちにレトロスペクティブな感情を掻き立て、旧懐の情を抱かせます。
日本で初個展となる本展覧会では、蒸気の原動力を頼りに文明が発達した社会があったと仮定するスチームパンクの世界観を、昭和初期の台湾日治時代とすべての物質を構成する元素の二つのテーマを基にKCN流に具現化します。
アジアで最もパワフルなポップカルチャー生産国・台湾発、いわば逆輸入ともいえるドメスティックノスタルジアを紡ぐ大実験の結末を目撃することとなるでしょう。