今から約150年前、黒船がやってきて日本に新しい風が吹いた。数多の人が自らの手で未来の設計図を思いのままに描いたロマンティックな時代が訪れた。それからというもの、いくつもの戦争と改革を重ねて社会が変わり、文化は成熟していった。
そのひとときを刻む文字、絵図があった。明治・大正の時代のすがたと熱量を一枚に込めた絵葉書や蔵書票等。これらは量産され、多くの人の手に渡り、未来への高揚感や希望へと結びついていった。こういったロマン溢れる歴史の小片を伊藤文學氏は蒐集した。
オールド・ロマンは自由な時間軸の往来を可能にする。名も知らぬ数多くの物語が込められた一枚からロマンの敷石を辿ると、私たちの生きる現代が見えてくる。