2024年11月23日(土) 本日の営業時間 12:00 - 17:00 【展示室A&B】 清水ユウ個展「鹿楓堂よついろ日和‐home‐」

'16/7/25 〜 8/6「ギーガー-陰翳の廻廊-」

新画廊 展示室 B / 入場料500円(展示室AB共通)※会期中無休
「ギーガー-陰翳の廻廊-」

映画「エイリアン」のクリーチャーデザインなどで幅広く知られるH・R・ギーガー(1940‐2014)はサルバトール・ダリやロバート・ヴェノーサなどのシュルレアリストとの交流に影響を受け、エロティシズムとグロテスクが交錯する独自の暗闇の質感を生み出しました。

本展ではシュルレアリズムに深い造詣と敬意を表し、デカダン芸術を蒐集する'Gallery Lucifer'のあるじが厳選したギーガーの貴重なコレクション展を開催します。のちのクリーチャー胎動を感じさせる1960年代後半のギーガーの退廃的かつ未来的なモノクロームの創作や、バイオメカノイドなどの彫刻、版画、限定品など、多岐にわたるコレクションを展示いたします。

2014年に帰らぬ人となりしも、なお、私たちの神経系統を刺激してやまない、ギーガーの白黒の陰翳廻廊をご高覧ください。

H・R・ギーガー(ハンス・ルドルフ・ギーガー)

1940年スイスのクールで生まれる。チューリッヒで建築とインダストリアルデザインを学び、1964年に初めての作品を発表。1966年には主にペン画と油彩画の作品で初めての個展を開催。その後、エアブラシ手法を用いユニークなフリーハンドスタイルを確立する。それらは彼の代表作となり、画家でありデザイナーでもあるギーガーはファンタスティックリアリズムの第一人者としての大きな名声を得る結果となる。
1973年エマーソン・レイク&パーマーのレコード「Brain Salad Surgery(恐怖の頭脳改革)」のジャケットデザインで、その名が世界的に広く知られる。現在までに20冊以上の書籍が出版されているが、中でも最も有名な画集「ネクロミノコン(1977年)」は、大ヒット映画「エイリアン」(1979年)でギーガーがクリーチャーデザインを担当し、第52回アカデミー賞(1980年)視覚効果賞受賞に導いた運命的作品集である。『ポルターガイスト2』『エイリアン2』『DUNE』『スピーシーズ 種の起源』『キラー・コンドーム』『帝都物語』にも参加。元X JAPANのhideのソロアルバム「HIDE YOUR FACE」のジャケットの仮面もギーガーによるもの。
1998年6月、スイス西部のグリュイエールに美術館HR Giger Museum を、2003年には同地に Giger Museum Barを設立。館内やBarには1960年代初期にさかのぼるギーガーの絵画、彫刻、家具やフィルム等、見応えのあるギーガー最大のコレクションを所蔵。
晩年の作品はエアブラシから離れ、スケッチや随筆の小作品が多くなった。国内外の主要美術館で回顧展を開催し、パリ18区に位置するアル・サン=ピエール美術館では6ケ月にも及ぶ展覧会を成功させ2004年パリの権威ある賞、パリ市銀賞(LA MEDAILLE DE LA VILLE DE PARIS)を受賞。
2014年5月12日、自宅の階段から転落し搬送先の病院にて死去。享年74歳。

Gallery Luciferコメント

ダダ、シュルレアリズムは1920年代から60年代に至る過程できわめて多様な方法により、あらゆる変革的な源泉へと接触を試みた。それは当時アクティヴなエネルギーを埋蔵していた哲学、心理学、政治、文学などの表現形態との結びつきを生んでいった。それらシュルレアリズム的思想を受け継ぎ、アマルガム状の巨大なエネルギーとして発展を遂げたのがスイスのH・R・ギーガーである。
しかしながら、それらに対する反作用として80年代に入るとすべてのエネルギーは消失し、創造的な動きは商業的で堅実な大衆娯楽である映画のキャラクターに取って替わられた。今回の展示会では80年代における爛熟と退廃、またその源流である60、70年代の勃興を再現している。ぜひ会場に足を運び、真に自覚的な態度で、用心深く綿密にギーガーのエネルギー方法論の蘇生を企画した本展示会の意図を感じとってほしい。(Gallery Lucifer)

「ギーガー-陰翳の廻廊-」