この度、肖像写真を通じて世に存在する無数の性のありかたを迫いかける中田柾志が、満を持して発表する新作フォトドキュメンタリー「Campus
Star」展を開催します。中田は過去にもヴァニラ画廊にて、2013年にはフランスのブローニュの森に出没する娼婦や男娼たちの肖像写真「ブローニュの森の貴婦人たち」を、2014年にはドイツのエロスの殿堂「エロスセンター」、生々しい性の現場「素人モデル」と多様な性をドキュメンタリータッチで発表しました。今回、単身でタイに渡り、そこで出会った制服姿の女子大生たちをキャンパスで撮り下ろしていく中で、中田は女子にも男子でも無い「?子」に遭遇します。異性装ともLGBTとも分類できない?子大生のカメラの前での爛漫な姿。中田は彼ら/彼女らと接していく中で、キャンパスの中での性の多様性に心付きました。
限定された制服という括りの中で、自分が自分であろうとする、その真っ直ぐな性と、生を謳歌する姿を撮り下ろした最新作を是非お楽しみ下さい。
9/2(金)19:00〜入場料1,500円(1D付)
(この日の通常営業は12:00〜18:30まで)
カメラマンの都築響一さんをお迎えして、今シリーズの秘話を語ります。
タイには何度か渡航しているが、初めて訪れた時から気になっていたのが、街中で見かける白のシャツに黒のスカートの制服の女性達。なかにはボディラインくっきりの服に超ミニスカートの女性もいる。エロすぎる。それが女子大生と知り、より興味をもった。世界でも稀な大学生が制服を着る国。あるサイトで、世界中の制服の中で一番かわいい制服に日本の女子高生が選ばれ、一番セクシーな制服にタイの女子大生が選ばれていた。同感だ。
知的で清楚なイメージの白と黒のシンプルな配色の服、さらにミニスカートの下の露な生脚は、男の妄想をかきたてるのに十分なアイテムだ。今回の作品は上下制服に限定せず、上が学校指定の運動着、下が制服のスカートの学生も含まれている。
女子大生を撮影するうちに、様々な性を生きる学生を撮影している事に気が付く。タイには男性、女性以外にレディボーイ、トムボーイ等、分類すると18種類の性別があると言われている。真性な男女以外の人にとって、自分がどの性別に進めばよいか見据え、そして開眼するのが学生時代なのかも知れない。女装好き、化粧好き、女性への性転換等の男子学生、女子学生の逆もまた然り。この国はLGBTに寛容な国である。方向性が定かでないのか、不思議なファッションをしている学生をたまに見かける。女装好きでスカートを履いているがスネ毛はボウボウで未処理の学生。化粧はしているがヒゲをはやしている男子学生等。トムボーイにいたっては、髪型や振る舞いは男に成りきろうとしているが、スカートを履いている。これは校則が原因で、性別上、女子はズボンは駄目でスカート着用を義務付けいている学校が殆どらしい。男子のスカート着用は許されているみたいだが。
男子でも女子でも無い別の性別を模索している学生は、被写体として魅力的である。(中田柾志)
1969年青森県弘前市生まれ。2001年/「写真新世紀」で「無名の彫刻たち」シリーズが佳作賞(都築響一選)
2002,2003年/個展(NCアートギャラリー)2005年/「写真新世紀」で「ブローニュの森」シリーズが佳作賞(荒木経惟選)2007年/「写真新世紀」で「素人モデル」シリーズが佳作賞(荒木経惟選)2012年/「ヴァニラ画廊大賞」で奨励賞。2013年/都築響一氏のメールマガジン「roadsiders’
weekly」で「ブローニュの森」、「エロスセンター」、「素人モデル」、「タイの女子大生」、「キューバのオヤジ」、「阿片芥子」が3週連続で特集。2013年/個展「ブローニュの森の貴婦人たち」(ヴァニラ画廊)2014年/個展「素人モデル、エロスセンター」(ヴァニラ画廊)