Ransom & Mitchell展「ゴーストタウン」 2018年3月27日(火)~4月8日(日) 会期中無休 (入場料500円 展示室AB共通)
この度、ヴァニラ画廊では二度目となるランサム&ミッチェルの展覧会を開催いたします。
ランサム&ミッチェルは、公私ともにパートナーである、セットデザイナー/フォトイラストレーターのステーシー・ランサムとアートディレクター/カメラマンであるジェイソン・ミッチェルによる二人組のアメリカのアーティストです。
サンフランシスコの現代アートシーンに大きな影響を与えた彼らの作品は、映画撮影の経験を活かしたライティングや舞台美術品、衣装等と、実際にセット内に独自の世界観を作り出すことによって生まれ、社会の様々な場所に存在する暗い底流を、ファンタジックに描写した写真作品で提示する人気写真家として名前を知られています。
ダイナミックな作品を作りだすランサム&ミッチェルは美術と写真の縦軸、デジタルアートとセットデザインの横軸の中で、何が現実で何が幻想なのか、私たちに問いかけます。 ダークなショー仕立ての物語をセッティングする事で、人間の弱い部分や、心の奥底の冥闇を仄暗く浮かび上がらせるのです。
今回の新作シリーズは「ゴーストタウン」。自らの潜在意識を探り、現実を超越する「すぐそばにあるかもしれない、全く違う次元に存在するもの達」の物語を作り上げました。 新作に加えて、子供の頃に誰もが想像した、暗く病的な妄想、美しい地獄、魔法の世界の闇や、暗がりに潜む異形の者たちを幻想的に作り上げた旧作品も共に展示いたします。
私たちの周りに存在しつつも、時とエネルギーを私たちとは別の次元で共鳴させ続けている存在を感じる事はありませんか。
本質的には悪意も善意もなく、自らの一時的な存在状態を反映し、その気配や息遣いを私たちの次元に残すもの。
それらは視界のすみにちらりと見え、皮膚の震えを感じたり、あるいは小さなささやき声が聞こえてきたり、少し視線をずらすと、これらが存在する空間が見えてくるのではと思いを馳せる事があります。
差し障りのない無意識状態から抜け出して、誰もが忘れているひっそりとした場所や時の中に、別の次元に存在する(私たちの隣に存在するかもしれない空間)を探していく事によって、私たちは自らの潜在意識下にある本当のものを見つけられるかもしれません。
この新しいシリーズ「ゴーストタウン」は、風景やモチーフの写真と、デジタル処理で作った彫刻や衣装、環境を組み合わせて、現実を超越する物語のある世界を作品として作り出しました。
私たちが作り上げたこれらの世界を見た時に、観客の内面を感情的に揺さぶる事が、私たちの目指すところです。
一瞬でふわりと視界から消えてしまい、しかしながら意識下にこびりつくゴーストのように。
────────────ランサム&ミッチェル
ランサム&ミッチェルは、セットデザイナー兼デジタルアーティストのステイシー・ランサムとディレクター兼写真家のジェイソン・ミッチェルの二人の才能を組み合わせた共同制作アート作品に用いられている共同筆名です。
写真をベースとしたデジタルペインティングを行い、非常に緻密で視覚的な豊かさに満ちたポートレートやシナリオ写真を制作しています。
イタリアやドイツの名画から発想を得て、映画的なライティング、舞台のように作り上げられたセット、説明的アプローチを組み合わせるという独自の手法を用い、細部にこだわる姿勢と技術は映画制作を行っていた時代に培われたものであり、従来の写真と古典的な絵画の境界線を曖昧にし、存在し得ない世界を生み出しています。
現在、サンフランシスコを拠点として、アメリカ国内外で幅広く展覧会を開催。世界中のファンを魅了し続けているユニットです。