2022.12.21 (水) ~ 2023.1.15 (日)
平日(月~金)12:00~19:00、土・日・最終日12:00~17:00
(12月30日~1月2日休廊)展示室B
入場料1,000円
(当日券のみ/オンラインチケットの販売はありません)
19世紀後半~20世紀前半にかけて、イギリスで多くの挿絵や風刺画を手掛けた画家ルイス・ウェインのコレクション展を開催いたします。
ルイス・ウェインは、イラストレーターとして新聞や雑誌の制作に多く関わり、擬人化された猫をモチーフとした諷刺の効いたイラストで一世を風靡し、生涯にわたって猫の姿を描き続け多大な絵の仕事を残しました。その人生はベネディクト・カンバーバッチ主演で伝記映画にもなり(「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」2022年12月1日日本公開)残された作品は世界中で今も支持されています。
今展示では、ウェインの貴重な原画の展示を始め、仕事の中で大きな割合を占めたポストカードの仕事を回顧し、また立体物の展示も行います。
この機会にどうぞルイス・ウェインの作品をご覧下さい。
1860年イギリス・ロンドン生。1880年に父親が死去し、学校に勤めながら、母親と5人の妹を養うため出版社にクリスマスカード用の絵の売り込みなどを行っていた。『ロンドン画報』の所有者ウィリアム・イングラムに見込まれ、姉妹紙の『スポーツ演劇画報』に作品が掲載、翌年1882年に同誌の編集スタッフとして雇われる。精神の病を患っていた妹の家庭教師のエミリー・リチャードソンと、家族の反対を押し切って結婚するが、エミリーは病により3年後に死去。
病床のエミリーを慰める為に飼い始めた猫のピーターをモデルに書いた猫の絵が『ロンドン画報』に掲載され大反響を呼び、イラストレーターとして仕事の依頼が舞い込んだ。
その後、出稼ぎでアメリカに渡るが、経済状況が悪化し、1910年の母親の死をきっかけに、イギリスに帰国。1913年、1915年に、続けて妹を2人亡くし、ウェインは精神状態が次第に悪化、不安定さが増していき妄想に苦しむようになり、妹たちは1924年にウェインをスプリングフィールド病院の貧民病棟に入院させる。病名は統合失調症であった。
病院でも猫の絵を描き続けたウェインは、たまたま病院の委員たちが視察に来た際に、その内の一人であったロンドンの書店主、ダン・ライダーと会う。ライダーはかの有名なルイス・ウェインが貧民病棟に入院している事に驚き、友人たちと一緒に「ルイス・ウェイン基金」を立ち上げた事により、多額の義援金が集まり、ウェインは1925年に王位ベスレム病院に転院する。ウェインはここで前よりも良い条件で絵が描けるようになった。1930年にはナブスバリー病院へと転院し、そこで飼われていた猫の絵を描いて過ごし、1939年老衰と尿毒症で死去。
猫をモチーフに擬人化と諷刺を盛り込んだウェインの作風は一世を風靡し、猫の絵のスペシャリストとして雑誌の黄金時代を彩った。また、ウェインの仕事の中で出版物の他に、絵葉書という分野もあった。葉書が通信手段の大部分だったこの時代、1879年に絵葉書が初めて発行され、絵葉書の大ブームが巻き起こった。ウェインもイギリスの30数社からおよそ800点以上にのぼる絵葉書を出した。