特別展示・入場料500円
3月18日(水)より4月30日(木)まで3部構成で展示いたします。4月1日(水)と4月16日(木)は展示入れ替えの為お休みします。
4月17日(金)三代目彫よしライブペインティング&サイン会17時〜19時
イベント時・入場料1,000円
(サインは画廊にて本を購入した方に限ります。)
場内での、模写や写真撮影は禁止いたします。
「百の鬼を描きます」アメリカの刺青師エド・ハーディ氏との一言が総ての始まりであった
簡単に考えていたものがいざ始めてみると直ぐにアイディアに行き詰まり筆が止まった。
同時に図書館通いが始まり資料を探す仕事になっていった。二〜三行の解説や落書きの様なものを参考に絵を起こしたりとの苦労続きであったが、個人で百の鬼を描いた前例もまず無かった事が背を強く押してくれ、紙はアルシュ、市販の筆ペン、墨液、鉛筆で仕上げたものが一年後の一九九八年、日本出版社より発刊され私の新たな世界への幕開けとなった。
恥はかきついでと次は水滸伝豪傑一百八人に挑んでみた。 過去多くの絵師達が描き残している題材だけに私如きが及ぶべきはないのを承知の上で、私なりの豪傑達を描いてみたかったのだが、この頃絵を描く本当の面白さが解かり始めて来たようでもあった。
次いで自らの血液を使った絵を描いてみようと思い、考えた末にこれ以外には無いと題材に選んだのが生首であった。絵の具では絶対に不可能であろう経年変化する生きた色彩が欲しかったからである。血液を塗布する為三十枚程を一度に彩色するのだが血みどろの絵と血まみれのティッシュが散乱し、部屋中血まみれの状態であった。八十枚程を描いたが皆、時と共に血液の色は変化を続けておりさながら静かな生きもののように感じさせる。
血みどろ絵の延長線上にあったものが、お岩さんや累で知られる幽霊の世界である。
この頃になると完全に絵の世界にはまり込んでいた。
以前よりもいくらか絵に近いものが描けるようになって来た感もあったがやはり絵画にはほど遠いものである。
外題は幽霊鬼斗卅六釁圖とした。
休むことなく、その昔立川文庫中で活躍した英雄豪傑達の世界に題を採った。
江戸読本に始まるこの武者絵の世界は心を日常から解き放ち異次元世界に遊ばせる不思議な魅力に溢れている。この時初めて白描のみの創作として五十八圖を作図出版した。
休むことなく本年八月中旬より始めた龍図は現在二百二十枚程を描き終え乾の巻、坤の巻それぞれ百図ずつで乾坤が合うことにより半数以上が物語性のある絵の組み合わせが出現することになっているが目標の枚数達成後も続けて龍図は製作中で何枚まで出来上がるか見当がつかないのが現状である。何事によらず続けることに意義があり決して途中で投げ出さない事、逃げたら負けと絵の世界から学んだことを胸に刻みまだまだ知識も浅く技術も人間的にも未熟な部分、休むことなく、研鑽努力の積み重ねこそが肝要と己に言い聞かせ、日々の精進を怠らないように心掛けるつもりである。
この歳になってやっと人としての考え方や本当の幸せとは何かがボンヤリとではあるが悟れて来た。現在の私があるのも両親はもとより今の家族、そして私を取り巻いてくれた多くの人々・方々の援かいお心遣いの賜ものと感謝している次第です。
多謝
平成二十年師走記
追記
私が常日頃云っている事でもあり、思っていることでもあるが、私の描くものはあくまでもアイデア画としての創作であり決して絵画としての水準には達していないと自覚している旨を切に御了解願う次第です。