70年代から今日にかけてSM雑誌の誌面にはかかせない存在と言われた前田寿安・初個展。
圧倒的な画力、SM画でありながら、ノスタルジックな感情を掻き立てる新作群の数々を是非ご覧下さい。
雪見障子の向行はいつか振りだしていたボタン雪…。
長火鉢でチビリチビリと晩酌。気づかってきたか、やや地味な着物姿の女がお酌をする。さしつさされつ、いつか女は帯をとく。いい裸だ。自縛の縄が白い躰を桜色に染めている…。
…雪は深くなった。女は帰れない…。
こんな情景は近頃ではもう無いかも知れない。ところがその男にとっては日常の時間らしい。
しかも男はこうもつぶやいたのだ。「その女は人妻なんだ。」
私は夢を見る。…絵になった。
前田寿安 プロフィール
1939年北海道生まれ
1957年劇画家の岡友彦(後の歌川大雅)の内弟子となる。
1963年芳文社より劇画デビュー。以後双葉社・集英社のプレイボーイ等で劇画を執筆。
1970年この頃よりSM雑誌にも二色イラストを連載。
1980年劇画、イラスト、挿画、スポーツ新聞の挿画等他誌に渡って活躍。
1985年~2010年長野に移る。執筆は同じく現在に至る。画集多数発売。日本出版美術連盟会員。