2024年12月23日(月) 本日の営業時間 12:00 - 19:00 【展示室A&B】 D is for Decadence Maki Kusumoto 40th anniversary 1984-2024

'10/3/29 ~ 4/10 キムラ・グラフィック《ルビ》展
−デザインを言葉の「視覚的な《ルビ》」と位置づけた木村恒久の過激グラフィック展!−

■トークイベント/4月9日(金)午後19:00~20:30 入場料1.500円(1ドリンク付)
ゲスト・柏木博(武蔵野美術大学教授・デザイン評論家)

20世紀中期の1960年代、東京オリンピック以降グラフィックデザインが「商業」に支配された所有物となる。
しかし、20世紀前期には「国家」「戦争」「イデオロギー」 「都市」をテーマに市民次元に還元されたグラフィックや美術の表現活動があった。それらを通した木村恒久の図形表現が「視覚的な《ルビ》」として位置づけられ、「イメージは公共のもの」であると言う氏からの問いかけが蘇る。
フォトモンタージュで知られる木村恒久が2008年末に逝って1年、この2010年に沈殿硬化したデザインの意味性に向けて伝達機能を過激に復元させている。

協力/木村史子:古村理:森本悟郎:柏木博

木村恒久(きむら・つねひさ)プロフィール

グラフィック・デザイナー。1928年大阪生まれ。1945年大阪市立工芸高校卒。

1960年、日本デザインセンターの設立に参加、64年に独立。1968年東京造形大学客員教授。1966年には、前年に宇野亜喜良、永井一正、和田誠らとともに銀座松屋デパートで開催した展覧会「ペルソナ」で毎日産業デザイン賞を受賞。60年代末から70年代の日本社会の転換期には、デザインの仕事と並行して、雑誌『デザイン批評』等で粟津潔たちとともに、舌鋒鋭いデザイン・社会批評を展開。1979年、現代社会を鋭く批評するフォト・モンタージュ作品を集成した『キムラカメラ─木村恒久のヴィジュアル・スキャンダル─』(パルコ出版)を出版。79年度の毎日デザイン賞を受賞。1981年『ボードリヤール・フォーラム81』でジャン・ボードリヤールと対談。2008年没。

《主な受賞》毎日デザイン賞。チェコ・グラフィック・ビエンナーレ・チェコ建築家協会賞。《主な活動》ポンピドゥセンター・東京都現代美術館共催『近代都市と芸術展』招待出品。CANADIAN AND JAPANESE DESIGNSFORLIVING『生 きるためのデザイン展』招待出品。 《個展》今橋画廊。エスパース土曜。パルコギャラリー。ハーバード大学。中京大学。木村恒久全国巡回展。ベルリン・ボラーエルンスト・ギャラリー。ギンザ・グラフィックギャラリー。川崎市市民ミュージアム。東京造形大学。京都造形芸術大学。《作品集》『キムラカメラ』1979年。『フォトマジック』1985年。『ニッポンの“ゑ”木村恒久VS谷岡ヤスジ』1986年。C D−ROM『ラストモンタージュ』1998年。『what?』1999年。gggBooks-42『木村恒久』1999年。『ザ・キムラカメラ』2006年。

キムラ・グラフィック《ルビ》展

 「キムラグラフィック『ルビ』展」開催にあたり

古村理

地球が静止しその周囲で月、太陽、五惑星が天球上を公転する「天動説」があった。それをガリレオ ガリレイなどが「地動説」に正したが、木村恒久師匠からデザイン中心を視点にする「デザイン地動説」をおつきあいから意識できていることは大きい。まさにデザインを中心に経済、社会が周囲で回っている天球図である。師匠に晩年の2000年ごろから2008年までおつき合いさせていただいた中から、その宇宙模型のような視点を回顧展「キムラグラフィック『ルビ』展」にちなんで献上したい!

1、デザイナーは「知性」「イデオロギー」を売る。経済人には無いから「調子はどう?」と聞いてあげればいいんだ。デザイナーの得意な「感覚」「感性」は『自分のリズム』。情報社会がなんでもかんでも目の前を通過して行くから、自分のリズムで掴めばいいんだよ。隣り近所のおっさん、おばさんも全部リズムで掴めばいい「フィジカルなんだ」!

2、工業社会は「筋肉」。農業社会は「腹」。情報社会は「脳」。つぎの『心の社会』を個人、個人で解きあかす時代。古くさい「こころ」を言い換えればいいんだよ。心社会は『?』残念ながら聞き忘れてしまったので、いまも僕の耳から離れなくデザインで言い換えつづけている。

3、ブランドは「外交」。ブランド外交としてもてなしを考えればいいんだよ。文化論だと思えばいい。それを大企業みたいに儲かる。スケールメリット。と考えているから壁をつくってしまう。情報の蓄積だよ!

国家、都市、社会に向けてデザイン《ルビ》として表現され始め「デザインは意味だ」。とおっしゃる研ぎすまされた集約のデザインが半世紀近く経った今も星のように輝いている。やがて自らの興奮をかねそなえたモンタージュ作品(魔術的幻灯な装置「ヴァルター・ベンヤミン」)に辿り着く。そのすべてが、20世紀の社会的な主題に向かっている「デザイン地動説」が回顧展からわかる。 (2010年3月)

古村理(クリエイティブディレクター)
・1966年~1968年、木村恒久氏アシスタント。
・1968年~1974年、日本デザインセンター。
・1978年~ブランドニュー株式会社(SeeSaw inc.を2008年改称)
現在に至る。

http://www.brandnew-jp.com