無意識の淵に横たわる暗黒ーそれはまるで月の裏側のように、我々の中に確かに存在している
闇への憧憬、それは誰しもが持つ一種の狂気的思考だ。それは静かな夜を煌々と照らす月の裏側のように、決して表出することなく我々の背後でほくそ笑む。中世のヨーロッパに端を発した芸術様式「ゴシック」はいつのまにか広義の怪奇幻想的アート全般を指す概念へと進化を遂げ、その過程において密やかに、しかし確実に世界を侵食してきた。その複雑化した思考はいまやあらゆるものへ入り込んでいるばかりか、その体内で増殖を繰り返し、新たなイメージを胚胎させ続けている。とはいえ、このような流動的展開は気付けば普遍概念と寄り添いはじめ、本質との離隔を促すことはいうまでもない。本展はそのような現在巷に溢れるゴシック的ゴシックへの懐疑を呈するとともに、従来の頽廃趣味だけに留まらないアナーキーかつダークな、反保守的思潮を集合させるものだ。いうなれば「ゴシック」の中に存在するフリークス。これらの逸脱した世界でのリアリティは、痛々しいまでに純粋であることは間違いあるまい。
参加作家:
安蘭
河上ヨシタカ
キジメッカ
児嶋都
作場知生
たま
所伸一
鳥居椿
林美登利
MAHO.S.S
宮西計三
室井亜砂二
(五十音順)