城景都の世界はバロックの色と形の世界であり、本能的に迸る色彩は恰も繭から無限に長い糸を紡ぐが如く、新鮮に溢れ続ける。
と同時にその色光を点描と片ぼかしの線によって丹念に押さえつつ、そこに得体の知れない複雑にして怪奇な世界を幻現させている。
この色光と尽きることなき形態の増殖反応は、まさに描くことへの執念を徹底的に強めることによって、エクスタシーを求めている状をひしひしと感じさせる。 城景都の絵はエロスの炎を描き続けている。
「城景都の絵には何かがある」 前田常作
城景都◆プロフィール
愛知県刈谷市にて印度系韓国人の父の三男として生まれる。小学校時代より音楽と絵に興味を持ち、学生時代より音楽活動のかたわら、絵を描いた。傷害事件を起こし、少年院に入るなど荒れた少年時代を送るが、恩師であり、画家である近藤正治氏と出会い、その芸術論に感銘し、その後本格的に絵を描きはじめ、国内外で数々の賞を獲得し、画家への道に進むこととなる。独特のスタイルである、植物の葉脈から導き出したタッチを用いた作風でさらにその名を知られる様になった。近年では蔵書票の製作や、書による個展も開催。2009年には公式ウェブサイトを立ち上げ、2010年には「Twitter」による情報発信も行い、精力的に活動している。从会会員。主な著書に『花の形而上学』『サッフォーたちの饗宴』などがある。