宮トオル遺作展
「沈黙する聖少女。」
展示室AB(入場料500円)
暗闇の海、運命の少女、魂の画家。
作者は幼少期を南の島で過した。7歳の時、画家としての運命を決定づけるすべての出来事が、一瞬にして起こった。
父との別離、少年を祖父母の元に残し隣村に嫁いでいった母親。
そして裸馬からの落馬。それが元で少年は耳を失うことになる。
昼は明るい空と海が夕方には暗く幻想味を帯び、切り立った崖は黒い影となって迫り、押し寄せる波の音は一晩中孤独な少年の魂を脅かした。
遠く離れた父や母の想いは、彼の前に謎めいた混沌となって何度も立ち現れる。
その想いに突き動かされるように描き続けた少女たちは、暗い海を背景にどこか懐かしさを誘うまなざしを浮かべる。
愛憎を超えて過去と未来をつらぬく、今は亡き作者の永遠のまなざしであろう。
1942年鹿児島県。浪速短大デザイン科に学ぶ。
後にイラストレーターとなり、76年幼年期を過ごした徳之島を27年ぶりに訪れたことが画家転向へのきっかけとなる。
79年銀座にてパステル画展。この頃より油絵を描き始める。
80年銀座松屋にて油彩とパステル画展。
82年油彩を中心とした個展を新宿小田急、大阪三越、鹿児島山形屋にて開催。
83年、85年新宿小田急にて個展。
87年新宿小田急、鹿児島山形屋にて個展。
88年新宿小田急にて個展。
90年新宿小田急、鹿児島山形屋にて個展。
91年新宿小田急、名古屋丸栄、大阪三越にて個展。
94年福岡大丸にて個展。
94年、97年銀座ミズタ画廊にて個展。
00年、02年銀座福原画廊にて個展。
05年大阪大丸にて個展。
その他個展、グループ展多数。
10年4月没。